eラーニングに関わると「知ってるでしょ……?」と言わんばかりに突然出てくるSCORM(スコーム)という言葉。SCORMとは一体何なのかを、どういうものなのかを、まずは基礎の基礎、キホンのキから考えてみます。
大抵の記事では「SCORMとは Sharable Content Object Reference Model の略です」からはじまりますが……共有できるコンテンツオブジェクト参照モデル???……うーん……頭がこんがらがってきました。ここでは一旦、名前のことは置いておきましょう。
目次
eラーニングの裏側
SCORMについて知る前に、まずはeラーニングの “裏側” をちょっと考えてみましょう。
eラーニングの仕組みに欠かせないものとして、「システム」と「コンテンツ」、そして一番大切な「受講者」の3つがありますです(ほかにもさまざまな人やシステムが関わるのですが、それは一旦置いておきましょう)。
具体的に見てみると、「受講者」は「システム」にログインして、「コンテンツ」を選んで再生するわけです。なんとなく分かっていた方も多いかもしれませんが、コンテンツとシステムは別々であることが多いです(もちろんシステムに依ります)。
この「コンテンツ」はスライドや動画を見て学習するもの、シミュレーションやテストのようなもの、文章を読んで学習するものまで様々です。では、「システム」とは一体どのような役割を果たすのでしょうか……?
eラーニングの管理人 LMS
「システム」はコンテンツや受講者の管理、学習履歴の確認などをしてくれる管理人のようなもので、学習管理システム、LMS (Learning Management System) などと呼ばれます。
この管理人は、受講者がコンテンツを閉じたときには「この人はこのコンテンツをすべて学習した」とか「この人はこのコンテンツに合格した」といったことを知っています。
これは受講者が学習している間、コンテンツがそのことをシステムに報告しているからです。
たとえば「加藤さんがスライドを5ページ目まで表示しました!」とか「岩谷さんのドリルの点数は62点でした!」とか。そんな風にコンテンツはシステムに伝えて、システムはそのことを記録します。こうすることで、システムは次に表示するコンテンツを切り替えたり「合格」と表示したりできるわけです。
また逆に、システムもこの人は学習済みとか、テストの点数を伝えたりすることで、コンテンツが表示内容を切り替えることができます。
システムによって異なるやりとりと共通化
このようにシステムとコンテンツは互いに「報告」をしなければなりません。人間は言葉でやりとりをします。システムとコンテンツも、お互いに規則に則ってやりとりをします。
みなさんもご存知のように、世の中にはたくさんのeラーニングのシステムがあり、それぞれが違う形でデータを管理しています。それ自体は問題ではありませんが、システムとコンテンツのやりとりの規則が同じでないと、互いにうまく報告しあえないのです。たとえばAというシステム向けのコンテンツはBというシステムではうまく理解できないといったことが起こります。
eラーニングのシステムを導入して数年は問題ないでしょう。しかし、いろいろな不満が出てきたりして「システムを変えよう」となったとき、特定のシステムに向けて作られたコンテンツは次のシステムで使えない可能性が高く、そうなると宝の持ち腐れになってしまいます。
こういうことを避けるために誕生したのがSCORMです。SCORMはこのシステムとコンテンツのやりとりや、コンテンツのあり方をまとめた共通の約束事です。SCORMに準拠したシステムは、SCORMに準拠したコンテンツを大抵の場合、正しく管理することができます。
なるほど、だからSCORMに対応しているかどうかはけっこう重要なわけですね。
SCORMなら大丈夫?
ここまで、SCORMはいいね!という話をしてきました。共通のことばを話すシステムとコンテンツで揃えれば万事解決しそうですね。
そう、ほとんどの場合、SCORM対応のシステムはSCORMのコンテンツをうまく扱ってくれます!しかし、先ほどから「大抵の場合」という不穏な言葉が入っていたことにお気付きかと思います。
正直なことを言うと、SCORM対応といっても「どこまで対応しているか」はシステムによってかなり異なります。また、SCORM対応と言いつつ、システム・コンテンツともに、クセがあったりする場合もあります。非常にレアケースですが、システムとコンテンツの相性が悪いと、うまくやりとりができないといった誤動作が発生してしまいます。ちょっと困りますよね。
こういった場合は弊社にご相談ください。お客様がお使いのシステムを調査して、SCORM教材を調整したり、逆に教材をシステム独自の仕様に作り直してLMSに問題を登録していくなど、さまざまなお手伝いが可能です。
もちろん、独自仕様の教材をSCORM形式にしたり、0からSCORM教材を作りたいといったご要望にもお応えいたします。
まずはご相談ください!
最終更新日: 2024-08-23