感染力の強いウイルスの出現によって、私たちの生活様式はデジタル化が加速しつつある今日。教育現場や学習の面でも、リアルな対面型の学習スタイルから、インターネットを利用した非対面型の学習スタイルへの切り替えが身近に感じられるようになりました。
普段、時間に追われるビジネスマンの方は、オンラインを使った「eラーニング」や「オンライン学習」がおすすめです。
eラーニングの歴史やメリット・デメリット、学習支援サービス(LMS)についてご紹介します。
目次
eラーニングとは
「eラーニング」は、英語のelectronic(電子的)の「e」とlearnig(学習)からなる言葉で、コンピューターの誕生と進化の過程から生まれた言葉です。
現代「eラーニング」の解釈は、オンラインを使用した学習法が定着していますが、当初は電子機器を使った学習全般を指していました。
日本で「eラーニング」という言葉を耳にするようになったのは、スマートデバイスの普及が盛んになった2000年頃からです。
ただ、それ以前から、コンピューターを教育・学習支援で利用しようという考えの下、研究・開発が盛んに行われていました。
まずは、「eラーニング」の歴史から見て行きます。
eラーニングの歴史
1950年代に誕生したコンピューターは、約70年の歴史を歩み現在に至っています。その間、コンピューターとインターネットの進化は目覚ましく、同時に「eラーニング」という言葉が生まれるまで、大きく3つのステップを経ています。
まず、ステップごとの歩みを見て行きましょう。
第1ステップ:1950年に生まれた教育学習支援(CAI)
コンピューターが誕生すると、更なる可能性を求めて研究・開発が盛んに行われるようになりました。この流れは、教育学習の面でも同様に行われ、アメリカを中心とした世界各国で、「コンピューターを利用した教育学習支援」の研究・開発がスタートします。
教育学習にコンピューターを利用しようとする考えは、CAI「Computer Aided(Assisted) Instruction」システムを誕生させ、これが「eラーニング」の発端になっていると言われています。
当時から教育を支援する側の問題として、”複数人に教える場合、個人の能力やレベルに合わせた教育が必要だ”、ということが挙げられていました。
そこでまず、CAIでは試験の採点結果によって個人の学習レベルを判断し、その個人にあった出題問題が選択できる、という自習型の教育プログラムとしてスタートしたのです。
第2ステップ:1990年代のCBTとWBT
コンピューターの誕生から45年が経た1995年。CD-ROMドライブを装備したWindows95が発売され、爆発的な人気と共に一般家庭へのパソコン普及が加速しました。
Windows95の普及はCD-ROMを使用した教材学習「CBT」(Coumputer Based Training)を生み出し、マルチメディアなデータ(テキストや図表にだけの教材から音声や動画など)に対応可能だったことから、あらゆる分野で利用されるようになります。
ただ、学習教材用のCD-ROMデータは、製造過程で書き込まれる為、大量生産した後に教材の改変があった場合、大きなコストがかかるというデメリットがありました。
また、学習者側から見た場合、一方通行な学習スタイルの為、不明点や質問があった場合に対応ができない事や、学習の進捗管理を学習者側で行わなければならないというデメリットがありました。
こうしたCBTの弱点によって新たに生まれたのが、Webを利用したインターネット学習法「WBT」(Web Based Training)です。
WBTの利点は、教室までの移動時間や費用がかからず、インターネットに接続できる環境とデバイスがあれば、いつでも、どこでも学習が可能だという点です。
また、学習履歴や受講プログラムなどは、サーバー上で一括管理されるようになっていたことから、学習者にとっての学習管理がしやすくなったことがメリットと言えます。
ただ、WBTにも弱点があり、Webでの学習法はどうしても受動的な面が大きいことや、学習教材の傾向としては、知識を得ることが主になっていた為、学習のモチベーション維持が難しく、途中で離脱・断念しやすいという難点がありました。
この弱点は、マルチメディアを活用することで解消されていき、それまで一方通行だった学習は、メールやチャットなどを使用したコミュニケーション可能な学習に変わって行きます。
第3ステップ:2000年日本のIT化戦略と共に誕生「eラーニング」
2000年頃になると、日本でようやく「eラーニング」という言葉を耳にするようになります。その背景にあったものはというと、政府による”e-Japan戦略”によって、日本型IT社会の実現構想が打ち出されたことが挙げられます。
そして、インターネットのブロードバンド化によって、ADSL・CATVなどのサービスが登場したことで、大容量インターネットが接続可能になると、それまでのCD-ROMを使った学習は、Webを使った学習へと移り変わって行きました。
また、それまで自宅や職場に置けるデスクトップ型のパソコンがメインでしたが、2000年後半になると、持ち運び可能なノートパソコン型が誕生し、更にスマートデバイスと呼ばれる、スマートフォン・iPhone、タブレット端末が普及していきます。
これによって、私たちの生活の中には、インターネットが欠かせない身近なものへと変わって行きました。いつしか、コンピューターは一家に1台から、1人1台の時代へと向かい、学習スタイルは、「いつでも、どこでも、好きな分野が学べる」スキマ時間を有効活用した学習スタイルへと進化して行ったのです。
スマートデバイスの登場によって、操作が簡単に行えるメリットから、eラーニングの活用は 更に広がりを見せます。
当初の事務作業をメインとした知識型学習から、調理や接客など現場の業務研修など、実践型の学習として導入されるようになって行きました。
Webを使った学習のメリット
ビジネスマンが「eラーニング」を活用する場面の多くは、企業や組織での研修・社員教育など、必要な知識を習得するためであったり、個人的なスキルアップ・キャリアアップを目指したい場合ではないでしょうか。
「eラーニング」「オンライン学習」は、どちらもWebを使った学習スタイルなので、忙しいビジネスマンの方にとって、講師と対面で行う学習スタイルより、時間を有効活用しながらスキルアップが可能です。
ただ、「eラーニング」「オンライン学習」は、Webを使った学習という点で、同じだと感じられている方もいるかもしれませんが、実は学習の持つ役割は異なっています。
「eラーニング」が知識を得るための学習法だとすれば、「オンライン学習」のライブ配信は、画面越しにディスカッションしたり、ロールプレイングが可能な実践的な学習法と言えます。
2つの違いを理解して、自分に合った学習スタイルを選ぶことが大切なポイントです。
また、2つの学習を上手く使い分けて学習すれば、学習の幅が更に広がり、質の良い学習が可能なのではないでしょうか。
【メリット】
- 時間を有効活用してスキルアップ可能(教室への移動不要)
- 交通費が不要(教室までの移動がない)
- 感染リスクが少ない
- 学習データの管理不要(学習管理システム(LMS)使用)
「eラーニング」と「オンライン学習」の違い・メリット
リアルな学習法も、Webを利用した学習法も、一般的な学習スタイルは大きく分けると2種類あります。
- ひとりで学ぶ『自習型』の知識学習=eラーニング
Web上で公開される教材には、テキスト・図表・画像・動画・アニメーションなど、講師がいない分、モチベーションが低下しないよう様々な工夫がなされ、受講の内容が分かりやすい点が魅力です。
- 講師との『対面型』学習=オンライン学習
オンライン学習のスタイルは大きく2つに分かれます。講師による講義のライブ配信型と、講師が前もって録画したものを受講する学習スタイルです。
自分に合った学習を選ぶことは、学習効率のアップだけでなく、学習意欲の低下を防ぐためにも大切です。
「オンライン学習」メリット・デメリット
オンライン学習の魅力は、自分のレベルに合わせて講師が選べる点が大きなメリットと言えます。
ただ、オンライン学習には、「録画」した講義を視聴するオンデマンド型と、講師の「ライブ配信」によって講義が行われるふたつのスタイルがあります。
「録画」のメリットは、一方的な学習スタイルなので、自分の学習ペースに合わせ、巻き戻しや、早送りによって繰り返し学習できる点です。
また、録画の場合は、自分の好きな時間や場所を選んで受講が可能な点も魅力と言えます。
反対にデメリットは、不明点があった場合に即座に質問が出来ないことです。質問ができても、リアルタイムなアドバイスや解決法が得られない点が難点と言えます。
「ライブ配信」のメリットは、講師と受講者がリアルタイムで顔を見ながら受講できることです。画面を通して資料を共有したり、チャットで即座に質疑応答ができたりと、双方向でのコミュニケーションが可能なため、学習へのモチベーションアップに繋がりやすい点が挙げられます。
反対にデメリットは、ライブ配信では雑談など話が反れやすく、通信トラブルに見舞われた時に受講が難航してしまう点です。
「eラーニング」メリット・デメリット
「eラーニング」の場合、オンライン学習と大きく異なる点は、講師がいない学習スタイルだということです。コミュニケーションが取れない為、一人での学習が苦手な方は、モチベーションの維持がしにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。
しかし、大丈夫です!
eラーニングの教材は、そういった不安な部分を考慮して作られています。
どんな工夫がされているかと言うと、従来からのテキストや図表だけではなく、画像・音声・動画・アニメーションといった、マルチメディアを組み合わせることで、モチベーションを維持できるような工夫がなされているのです。
一人での学習を楽しめるよう工夫された教材が大きな魅力と言えます。
また、eラーニングの場合、スマートデバイスで、人目を気にせず受講しやすい点から、
「いつでも・どこでも・好きな分野を学べる」というメリットがあります。
学習管理システム(LMS)
学習管理システム「LMS」(Learning Management System)は、eラーニングの学習に使うOS(オペレーションシステム)のことを言います。
LMSが誕生した背景には、インターネットを使用した学習のセキュリティ問題が重要な課題でした。受講者の管理と個別学習管理、2つがポイントだったのです。
そこで、この管理面を統合的にシステムに組み込み、ネットワーク上で管理が行えるようにしたのが学習管理システム(LMS)です。
学習者側と学習支援者側の両者にメリットが生まれました。
- 学習者:集中して学べる環境
- 支援者側:教材コスト削減
【学習者のメリット】
- 教材とコースの選択が自動化されているので学習しやすい
- テストの結果や学習の状況がリアルタイムで分かり、学習意欲に繋がりスキルアップしやすい
- 学習者の苦手な分野や、成果が一目でわかりやすい
まとめ
インターネットを利用した「eラーニング」のメリットは5つ!
- いつでも・どこでも・好きな分野を学べる
- 電車や移動にかかるコスト削減
- 学習管理支援サービス(LMS)で、効率よくスキルアップが可能
- 学習状況を自分で管理しなくてもいい
- 感染リスク対策もバッチリ!
コロナ禍の今、Webを利用した「eラーニング」や「オンライン学習」はこれから更に求められる学習スタイルと言えるのではないでしょうか。
また、技術の進歩によって新しい学び方があり、楽しんで学ぶことを可能にしてくれる学習法と言えます。
最終更新日: 2023-09-22