コンピューター技術の発展により、近年は教育のICTが進められ、学校の授業にもデジタル教材が活用されるまでになりました。国でも普及が進められ、子ども向け学習教材でも一般化されているタブレット学習ですが、便利なだけでなく問題点や誤解されている点も多々あります。そこで今回は、教育現場におけるデジタル教材導入に関する誤解や押さえておきたい留意点などをご紹介していきます。
デジタル教材導入により教師は不要になるか?
デジタル教材は、タブレットなどのデジタル端末から閲覧することができ、従来の紙の教科書とは違ったアプローチ方法で、多くの情報を生徒に届けることができます。映像を見ながらの学習や音声の読み上げ機能などもあり、端末をインターネットに接続すれば、より多くの情報を取得しながら学習することが可能です。このことから、デジタル教材の入ったタブレットがあれば個別学習ができるため、教師は必要なくなるのでは?といった声もあります。
しかし、この考え方はあまり適切ではありません。デジタル教材は、従来の紙の教科書と同じく教材の一部にしかすぎません。数ある教材の一つであり、それを使う使わない、使うとしたらどのように導入していくのかという部分は、教師の判断に委ねられます。
わかりやすい=理解できるとは限らない
植物の成長や図形問題など、学習対象に何かしらの動作が伴う場合には、動画を使った方が確かにわかりやすいかもしれません。しかし、わかりやすいから理解できるか?といえば、それは別問題なのです。例えば、動画の中で見るべき対象とは別ものに注意が向いてしまう、ただ受動的に動画を見ているだけで能動的に考えることはしていないといったことが起こります。
そのため、実際の観察学習や、学習したことをきちんとアウトプットするための演習問題、質疑応答などが必要となります。また、生徒が理解をするためには、デジタル教材とは別に、実際に手を動かし頭で考えるための別のアプローチも用意したほうが効果的でしょう。
デジタル教材は教材の一つ!今までの授業にプラスすることでより深い学習を
デジタル教材が普及したからといって「教師による授業が必要なくなる」「デジタル教材一つで授業が成り立つ」ということはありません。デジタル教材はあくまでも、数ある学習教材や手法の一つです。生徒たちが本当に学習したことを深く理解するためには、デジタル教材だけでなく教師の授業による質疑応答やアウトプットといった自分で手や頭を動かすことが大切になります。
そのため、デジタル教材をどのように授業に取り入れていくのかというのは、授業を行ううえでの大きなポイントになっていくのです。