【試験の公平性と機会損失】一斉試験による不平等さとネット受験

試験といえばみんなで一斉に同じ場所に集まって「せーのっ!」で始めて「以上です」で終わる。そんな時代は長く続いてきたことかと思われます。それがあきらかにここ5年くらいで様相が変わってきていますよね。まずは同じ学校に入るにも、資格を取るにも、試験はワンパターンではなく複数パターンあり、受験機会も何回かある。同じ資格試験でもネット受験が可能であるなどと柔軟性がある。

これまで一斉試験で画一的に図られてきた能力や、一斉試験に対応できない人への新たな機会が設けられたことによって、試験のあり方が変わってきています。可能性が広がるのはとてもうれしいこと。ネット受験が可能な資格は趣味よりの民間資格が多いですが、「医科 医療事務管理士」の資格がネット受験可能になったようです。いわゆる医療事務職になるには有利な資格のようで、在宅受験できるのであれば、子育て中の女性にも大変ありがたい制度ですね。なんかちょっと受けてみようかな?なんて思える手軽さが、すそ野を広げていくのでしょう。私もほんとにちょっと受けてみようかな?受かったら合格体験記書きます。

「試験は公平に一斉に」への疑問

試験は公平を期するために一斉に、同じ問題を。私の学生時代はこれが基本でした。一律に成績を出すためにはこの方法が有効であったことはわかります。一方で、多くの試験はしょせん試験でしかなく、その後の実務や仕事につながる入り口に過ぎないことを考えると、すべての試験にこれを当てはめる必要はないのではないかと思います。

資格を取ったからといって、実務に即生かせるわけではなく、また、資格を取った人が一律に能力を有しているわけでもありません。であれば門戸は広く、資格試験の受験機会は多ければ多いほど良い。そんなやり方もありなのだと、思います。もちろん、資格の中には厳正さが重要な国家資格もあるので、すべて同じにはできないかもしれません。ですが、資格そのものよりも、センスがその後のお仕事の成功を決めるような資格は、受験しやすさを重視していってもよいのではないかとは思います。

へき地・離島には試験会場がない

都内に住んでいると大抵の資格試験の試験会場は電車で1時間かからないところにあります。試験当日の都合さえつけば、あとは勉強時間の確保と勉強方法だけを考えていればOK。一方、へき地や離島と呼ばれるような場所には、試験会場自体が設置されないことが多いです。東京都にも、離島と呼ばれる島は何か所もあり、一番本土に近い大島であっても人口は1万人いるかどうか。よほど全国規模の特別な試験でない限り、大島町に試験会場が設置されることはないでしょう。ちなみに本州から最も遠い小笠原諸島は、世界遺産になるくらい美しい自然に恵まれていますが、本州からは船便のみで片道約25時間。1週間に1往復。大学受験の高校生が、毎年受験のために苦労することで知られています。この交通事情を考えれば、よほど重要なもの以外、本州で試験を受けることはできそうにもありません。

試験日が限定されることで生じる機会損失

試験日や試験会場が限定されることによる機会損失は、試験の合格率では現れない部分で生じています。ですが、試験結果で合格率は公表されても、申込前に断念した人の数は見えないので、それがどれくらいなのか計ることはできません。国家資格は資格ありきで仕事をするものが多く、受験機会が得られなかったことは、大きな機会損失につながるでしょう。

また、民間資格でたとえ資格無しで仕事に就けたとしても、「スキルの見える化」をすることは就職に有利に働きます。お給料面で変わってくることもありますし、やはり場所や時間に縛られる試験でないほうがずっとありがたいものです。正直、勉強しても当日「家庭の事情」で受けられない確率が高かったら・・・、モチベーションは下がって当然ですよね。

eラーニングからのネット受験

最近の通信教育には、通信教育やeラーニングを終えた後に、そのままネット受験して資格を取れるパッケージがあります。基本的に民間資格ですが、学習してそのまま試験を受けることができるのは大きなメリットです。民間資格には似たような資格で主催団体が違うものがたくさんあります。どれを選ぶかといったときに、ネット受験できるか否かは一つの基準になっていくかもしれませんね。

ネット受験で環境要因による不平等さを解消へ

会場での一斉試験は、一見平等に見えて、環境要因による不平等さがあります。ネット試験であっても、パソコンの有無など完全に平等にはできませんが、併用することで不平等さの解消に、一役買ってくれることでしょう。実際にネット受験を体験したら、今度はメリット・デメリットについて書いてみます。

最終更新日: 2019-06-25