未来の先生展2017 参加レポート

先々週の日本デジタル教科書学会 第6回年次大会(東京大会)につづき、2017年8月26日、27日は、未来の先生展2017 に参加してきました。8月は、先生向けのイベントがたくさんありますね。

さて、この未来の先生展は、今回が第1回ということで、どのような雰囲気だろうと思って行ってみました。会場について、第一印象は「人多い!」。スタッフも来場者も非常に多く、まさに「大盛況」という感じでした。そして、タイムテーブルを見て「プログラム数多い!」。

Webサイトには「未来の教育のショーケース」と書かれていましたが…
ショーケースというのにふさわしい量でした。

聴講できなかった講演は、そもそもどのような内容だったか分からなかったので、私が聴講した中で、特に印象に残った内容をレポートします。


全体感:多様な学び

先週の日本デジタル教科書学会が「学習指導要領」にのっとった公教育での実践・研究発表がほとんどだったのと対照的に、「未来の先生展」は、その枠にまったくとらわれていないのが印象的でした。むしろ、文部科学省主導の公教育でカバーできない部分に焦点をあてているテーマが多かったように感じました。
広いキーワードでいうところの「オルタナティブ教育」と呼ばれるジャンルでしょうか。

  • 海外発祥の教育手法「シュタイナー教育」「フィンランド式教育」「国際バカロレア」など。
  • ホームスクール
  • 発達障がい児への教育アプローチ

など。
もちろんプログラミング教育や公立学校についてのテーマもありましたが。


日本のホームスクール

NPO法人 日本ホームスクール支援協会(HOSA)の講演を聞きました。
恥ずかしながら「ホームスクール」という言葉自体をけっこう最近になって知ったので、気になって聴講しました。

結果、学びがたくさんありました。
背景としては、

  • アメリカ合衆国は「教育の権利は親にある」という考えのもと、公的にホームスクール(自宅での学習)が1980年代から認められていること。
  • そもそもアメリカ合衆国では「不登校」という概念がないこと。
  • 戦前は日本でも合法であったこと

などは、知らない部分も多かったので勉強になりました。

また、実際にホームスクールを実践されている2名の発表がありました。
家庭ごとに十人十色というのは当然ですが、いずれも、子供の自主性を重んじつつ、子供に寄り添い、学ぶ環境や手法などを工夫されながら実践されているのが印象的でした。

いろいろな立場から賛否両論あるかもしれませんが、ホームスクールというのは選択肢の1つとしてありだろうな、と思いました。


SDGs(持続可能な開発目標)

国連:持続可能な開発のための2030アジェンダ

2015年に国連加盟150か国の全会一致で採択されたという目標。
ちょくちょくと垣間見える国連の「上から目線の感覚」が気になりましたが、1つのものごとを多角的に考える指標としては、非常によく考えられていると思いました。

弊社で関わっている「教育分野」について、一部の例外を除いては、サステナブル(持続可能)なものであるべきと思うので、さまざまなことを、この指標に当てはめて考えてみたいと感じました。


子供の貧困と学習支援

社会問題を学習支援で解決する Learning for All

NPO法人 Learning for All について、facebookか何かで見つけて知ってはいたのですが、はじめて講演を聞きました。

  • 就学援助を受けている子供が155万人
  • 7人に1人が貧困状態
  • ひとり親世帯の貧困率 54.6%

など… 数値にすると、貧困問題が他人事ではないのですが、見えないんですよね。

Learning for All は、学習支援という形で活動していて

  • 年間400名の学生ボランティアが”先生”となって子供の学習を支援する
  • ”先生”となるために、50時間の研修をうける
  • 学校や行政と連携して「学習支援が必要な子」を見つける

など、かなり組織化・仕組化して動いていることに感心しました。
そして「本気で取り組んでいる」というのがひしひしと感じられました。

直観的に「応援したい!」と思って、家に帰ってすぐLFAサポーター(継続寄付)をしました。

・・・
個人見解としては、貧困や格差の問題は、いろいろ思うところがありますが、また別の機会に。


最後に

未来の先生展、非常に面白かったけれど、勝手に次からの要望を書いておきます。

  • Webサイトのプログラム一覧でマウスオーバーしないと読めないUIは、一覧性がなくて使いづらい…
  • そのプログラム一覧でクリックするとPDFが開くということに、終了後に気づきました…
  • タイトルだけ見ても、特に知らないキーワードだとよくわからないものが多いので、PDFでのせていた情報も、Web上で読めるようにしてほしいです。
  • どうしても全部は回れないので、事後、可能なものだけでよいので、発表資料を公開してもらえるとありがたいです。

偉そうに書きましたが、非常に学びが多く満足度の高いイベントでした!

最終更新日: 2017-09-02